| ▼ ちぢれ手鶴首です |
2011.12.06 Tuesday
久しぶりの書き込みです。およそ10ヶ月ぶりになります。最後に書き込んだのが1ヵ月前のような気がします。体の具合がよくなかったとか、仕事の都合上時間がとれなかったとかの理由ではありません。ただ、なんとなく時間が過ぎただけのことでした。「光陰矢のごとし。」 年齢を重ねるごとに矢のスピードは増します。私の場合、若い時の1ヵ月は現在の10ヶ月とほぼ同じなのかもしれません。
ちぢれ手鶴首 径36cm×高86cm 中村秀昭作 1990年頃
今回の作品は少々イワク付の品です。
30前半の血気盛んな頃の作品で、ただ「大きい鶴首を作ろう」と思い立ち仕上げた品です。水びきしたまでは順調でしたが、さてどう削って高台を仕上げていいものかわかりませんでした。通常シッタを使ってさかさまにするのですが、これを乗せるシッタがありません。今からシッタを作っていては、作品が乾いてしまいます。どうしようかと、作業場の中をふらふらしていると、都合よく径25cm位、高さ60cm位のビニール製のパイプがあるではありませんか。今から考えるとこんな特殊な物がどうして、作業場にあったのか不思議なことでしたが、当時はそのような疑惑も感じず、「これだ」と思い、それをシッタ代わりに使って仕上げました。
さて、「イワク」というのはこれは私の作品の中で唯一「酔っ払いに絡まれて割られそうになった」品であるということです。
今から10年ほど前のことです。会の展示会の宣伝の為、私はこの品を持って繁華街の隅に座っていました。すると、いつのまにか、よれよれのTシャツを着たおっちゃんが私の隣に座っているではありませんか。おっちゃん曰く、「これは有田焼か?」 私曰く「いいえ違います」 おっちゃん曰く「これは1000万くらいすっとか?」 私曰く「いいえ、そんなにはしません」 おっちゃん曰く「・・・・」 私曰く「・・・・」というふうに取り留めのない話をしました。話をするうちにおっちゃんが酔っていることに気づき、「このおっちゃんに付き合っていたら、いつ開放されるかわからん。何とか逃げ出そう」と思い、素っ気無い返事をしたところ、おっちゃんが怒り出し、「こん壷ば割る!」と言い出しました。「1000万しようが2000万しようがかまわん。俺はこの壷ば絶対割る!」と繰り返し言いました。私が困り果てていると近くにいた警備員のおじさんに、その酔っ払いのおっちゃんがたしなめれました。すると、それが気に入らなかったらしく、今度は警備員のおじさんにくってかかりました。また、そばにいたOL風の女性にも「お前どんはなんば見よっとか。」と言い寄り、騒ぎはどんどん拡大していきました。私は騒ぎの責任を感じながら、「今がチャンス」とばかり、そそくさと壷を担いで逃げ出しました。後ろで「なんかお前ドンは!」というおっちゃんがそこいらじゅうの人にあびせる声が聞こえます。もう町中大騒ぎです。後で考えてみると私がおっちゃんと何気ない会話を交わしている時に、近くの人が「またあの人いるよ。」と言っていた事を思い出しました。多分このおっちゃんは「時々出没して暴れる困ったおっちゃん」だったのでしょう。そして、その日の騒ぎは特別ではなかったのでしょう。とはいえ、騒ぎの原因の責任は私にもあります。「知らない酔っ払いにはかかわるな」という教訓を得た一日でした。それ以来その場所には近づかないようにしています。また、この鶴首も店から出さないようにしています。









